歯垢の分析でネアンデルタール人の食生活判明

歯垢の分析でネアンデルタール人の食生活判明、サイや羊も

2017年3月9日 16時50分(最終更新 3月9日 16時50分) オーストラリア

3月8日、豪アデレード大学のチームなどが調査し科学誌ネイチャーに掲載された研究で、人類に最も近い種とされているネアンデルタール人が、毛の生えたサイの仲間や野生のキノコを食べたり、鎮痛や病気治療に植物由来の薬を使用したりしていたことが分かった。写真は洞窟「シマ・デ・ロス・ウエソス」から出土した初期ネアンデルタール人の頭蓋骨。この場所で17個の頭蓋骨が発見されている。 (2017年 ロイター/Nikola Solic)


[ワシントン 8日 ロイター] – 豪アデレード大学のチームなどが調査し科学誌ネイチャーに掲載された研究で、人類に最も近い種とされているネアンデルタール人が、毛の生えたサイの仲間や野生のキノコを食べたり、鎮痛や病気治療に植物由来の薬を使用したりしていたことが分かった。

研究では、スペインのシドロン洞窟で発見された4万8000年前のネアンデルタール人と、ベルギーのスピー洞窟で発見された3万6000年前のネアンデルタール人の歯垢を遺伝子解析した。

当時のスピー洞窟周辺は草に覆われた丘陵地で大型の獣が生息し、ネアンデルタール人の食事は、毛の生えたサイの仲間や野生の羊など肉類中心だった。このほか、野生のキノコも食べていた。

その1万2000年前のシドロン地域は深い森だったことから大型獣はいなかったとみられ、ここにいたネアンデルタール人は、野生のキノコ、松の実、コケ、樹皮などを食べていた。肉類を食べた形跡は見つからなかった。

さらに、シドロンのネアンデルタール人の青年が痛みを伴う歯性膿瘍を患い、腸内に激しいゲリを引き起こす寄生虫を抱えていたことに加え、この青年が、鎮痛作用のあるアスピリンと抗生物質状の成分を含むポプラの樹皮を摂取していたことも明らかになった。

研究を率いたアデレード大学の原始微生物学者、ローラ・ウィーリッチ氏は「われわれの研究は、ネアンデルタール人が高い能力を持ち、知的で、おそらく友好的な人々だったことを示唆していると明確に思わせるものとなった。彼らの振る舞いは極めて人間的であり、粗野な振る舞いとの歴史書を書き換える必要がある」と述べた。科学者らは、ネアンデルタール人は複雑な狩猟手段を持ち、おそらく言語や洗練された火の使用法を知るなど知的だったとみている。


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